会頭挨拶

当会ホームページをご覧いただき、誠にありがとうございます。

 2023年7月、会頭を拝命いたしました伊藤忠商事ダッカ事務所長の狩野哲郎と申します。まずは、2016年7月に発生したダッカ・レストラン襲撃事件により、7名の日本人の方を含め、命を落とされた皆様に心から哀悼の意を捧げるとともに、今後の当地での安全を誓いたいと存じます。

 さて、当会は、バングラデシュの独立間もない1972年に発足し、多岐にわたる業種・事業を運営されている会社・団体の皆様にご入会いただき、会員数は132社・団体(2022年7月時点)に上っています。会員数が増加したことを背景に、ビジネス促進委員会や分野別の4つの部会(繊維部会、プロジェクト部会、製造・輸出部会、サービス・内販部会)を運営しており、ダッカ日本商工会の皆さまのビジネスの拡大の為に、EPA検討委員会を設置し、日本バングラデシュ間のEPAの速やかな締結の後押しに繋げたいと思っております。

 日本とバングラデシュは2022年2月10日で国交樹立50周年を迎え、様々な記念行事が日本、バングラデシュの双方で開催されております。昨年12月には、ダッカ都市鉄道(MRT)6号線の一部開業や、バングラデシュ経済特区(BSEZ)の操業開始が予定されています。また、ダッカ日本商工会も50周年を迎え、昨年11月には日本バングラデシュ商工会議所(JBCCI)と共催で、外交関係50周年を祝福する記念レセプションを開催しました。そんな記念すべき年を経て、次の50年への始まりの年に、会頭を務めさせていただいていることを大変嬉しく思い、両国の経済発展に更なる貢献をして参りたい所存です。今年度は、昨年度の「攻める商工会」のスローガンを引き継いだ上で、「繋ぐ商工会」をモットーに、日本大使館様、ジェトロ様、JICA様、JBCCI様など関係団体と連携の上、ビジネス環境改善活動、ネットワーキングの拡大、バングラデシュ政府への働きかけなど積極的に行っていきたいと思っております。

 バングラデシュ経済は、新型コロナウイルスによるサプライチェーンの見直し、ロシア・ウクライナ戦争による資源価格や原材料費の高騰などで、目下経済に大きな影響を受けているものの、人口1億7千万人の豊富な労働力を背景に、繊維業を中心とする輸出産業と海外出稼ぎ労働者による郷里送金により安定したマクロ経済を運営しております。ハシナ首相による安定した政権運営も寄与し、新型コロナ前は8%を超える経済成長率を記録し、一人あたりGDPは2,462ドルとインドを越えております。

 また、新型コロナ禍においても、人口を背景とした内需の大きさ、政府投資をはじめとしたインフラ事業の実施、衣料品輸出の回復により、2021/22年度は7.3%の成長を実現しました。ウクライナ戦争に伴うエネルギー価格高騰などにより、厳しい状況にはあるものの、国際通貨基金(IMF)や世界銀行、JICAなどからの支援によりマクロ経済の安定が期待されています。これらを踏まえ、2026年には後発開発途上国(LDC)からの卒業を予定し、日本との間では2022年12月、来たるべく日本・バングラデシュ経済連携協定(EPA)にかかる共同研究会が設立されました。

 バングラデシュと聞けば「貧困」「洪水」のイメージが強いという方々にとっては、この事実に非常に驚かれるのではないかと思います。日本側でのこのようなイメージから、「ビジネスの場としてのバングラデシュ」という新たなイメージを創造できればと思っています。

 加えて、1971年にバングラデシュがパキスタンから独立し、日本が他国に先駆けて国家承認したことや、これまでの日本政府からの支援や日系企業による現地への貢献により、当地には日本への信頼と敬意が深く根付いており、バングラデシュ政府、企業、人々など、あらゆる方々から日本への感謝や敬意に触れる場面が多く、大変な親日国であることを実感いたします。

 バングラデシュでは、新型コロナウイルス禍から大きく一歩前に進み、コロナ前の状況に戻っております。コロナ禍で根付いたオンラインも活用しつつ、定例会や部会の活動を通じ、会員間の意見交換を行っております。新型コロナに限らず世界では困難な状況が続いておりますが、引き続き、当地において積極的な活動を進めて参りたいと存じます。

 当地への進出をご検討されている皆様の入会を心からお待ち申し上げておりますとともに、会員企業・団体の皆様におかれましては、引き続きご支援とご協力を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

 末筆とはなりましたが、会員企業・団体の皆様のますますのご発展・ご健康を心よりお祈り申し上げます。

2023年7月吉日 ダッカ日本商工会 会頭 狩野 哲郎

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